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Massive Attack
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01_「Teardrop」(アルバム:Mezzanine)
Massive Attack - Teardrop (Official Video)[91,204,649_2009/03/06]
■曲名:Teardrop
■曲名邦題:ティアドロップ
■アルバム名:Mezzanine
■アルバム名邦題:メザニーン
■動画リンク:「Teardrop」
このアルバムでは、コクトーツインズ(Cocteau Twins)のエリザベス・フレイザー(Elizabeth Fraser)を、ゲストボーカルに迎えています。
実際曲づくりにも参加していますね。
曲名は「Teardrop」つまり「涙のしずく」です。
思わせぶりな曲名なので歌詞を読んでみましたが、詩的な表現が多く、意味がよく分かりませんでした。
またこのプロモーションビデオでは、胎内の赤ちゃんが登場しています。
映像を見ても、何を言わんとしているのかよく分かりません。
結局、歌詞を読んでもPVを見ても「涙のしずく」に繋がりそうなものは見つかりませんでした。
ただそれでいいのかもしれません。
この人たちの魅力はアブストラクトなところ、つまり抽象的な世界観です。
歌詞や映像が、必ずしも具体的な感情やストーリーにひもづいていなくても不思議ではありません。
もしかしたら涙といっても、冷たいコップの表面に浮き出た水滴みたいなものかもしれませんしね。
02_「Blue Lines」(アルバム:Blue Lines)
Massive attack - Blue Lines - Blue Lines.mp4[439,839_2011/10/08]
■曲名:Blue Lines
■曲名邦題:ブルー・ラインズ
■アルバム名:Blue Lines
■アルバム名邦題:ブルー・ラインズ
■動画リンク:「Blue Lines」
ファーストアルバムのタイトル曲です。
彼らは当初「ワイルド・バンチ(Wild bunch)」と名乗っていましたが、当時はネリー・フーパー(Nellee Hooper)やトリッキー(Tricky)など、そうそうたる人が参加していました。
その後彼らはネナ・チェリー(Neneh Cherry)の「ロウ・ライク・スシ(Raw Like Sushi)」のレコーディングに参加したり、以下のシングルを発表しています。
Massive Attack – Any Love
この頃にはメンバーが固定され、以下の3人となっています。
・グラント・マーシャル(Grant “Daddy G” Marshall):通称”ダディ・G”
・ロバート・デル・ナジャ(Robert “3D” Del Naja):通称”3D”
・アンドリュー・ヴォウルズ(Andrew “Mushroom” Vowles):通称”マッシュルーム”
先程の曲でも方向性が定まりつつありましたが、「Blue Lines」ではよりリズムが洗練されているかもしれません。
その洗練の極みといえるのがこの曲です。
このアルバムは1991年5月にリリースされています。
もう30年近く前ですが、この曲にはそれほど古さを感じません。
彼らの音楽は「踊れないダンス・ミュージック」と言われますが、今ではそういう音楽も当たり前になっています。
しかしそんな現在でも、彼らの曲は驚異的に新鮮さを失っていないのですね。
03_「Protection」(アルバム:Protection)
Massive Attack - Protection[16,875,943_2009/03/06]
■曲名:Protection
■曲名邦題:プロテクション
■アルバム名:Protection
■アルバム名邦題:プロテクション
■動画リンク:「Protection」
この曲ではエヴリシング・バット・ザ・ガール(Everything But the Girl)のトレイシー・ソーン(Tracey Thorn)が、ゲストボーカルとして参加しています。
トレイシーはこの曲と「ベター・シングス(Better Things)」にも参加していますね。
さて初期の三作はそれぞれ傑作ですが、音楽的傾向はかなり異なっています。
このセカンドアルバムはファーストアルバムとは異なり、より音のバリエーションが広がり、耽美な音楽へと変化しています。
その分リズム面が前作より後退していますが、新しく獲得した魅力で補っていて、作品のレベルは落ちていません。
むしろバリエーションを獲得した分だけ、一歩前進したのではないでしょうか。
中でもこの曲は比較的聞きやすく、彼らの魅力が分かりやすい曲だと思います。
ただ一見スムースなナンバーですが、簡素なリズムの背後で時にウネウネしていたり、アンビニエントなシンセサイザーの音が鳴り続けていますね。
彼らの音楽の魅力に気付くにはコツがあって、ヘッドホンで聞くと分かりやすいかもしれません。
この曲でも背後の音が気になり始めたら、病みつきの一歩手前です。
体温低めの曲ですが、それもまたいい感じではないでしょうか。
04_「Angel」(アルバム:Mezzanine)
Massive Attack-Angel (Mezzanine album)[6,145,773_2009/03/22]
■曲名:Angel
■曲名邦題:エンジェル
■アルバム名:Mezzanine
■アルバム名邦題:メザニーン
■動画リンク:「Angel」
この曲は冒頭から刺激的です。
冒頭の不穏なベースラインから導かれるように、ホレス・アンディ(Horace Andy)の中性的なボーカルが始まります。
前半はダウンテンポで、徐々ににじり寄ってくるような迫力がありますね。
その均衡が崩れるのは、2:24にギターが入ってからのことです。
このアルバムは要所でギターを効果的に導入しているため、ロック色が強くなったと言われています。
マッシュルームはその変化に不満があったようで、このアルバム限りで脱退してしまいました。
私はその変化に狂喜しましたけどね。
確かに前作も悪い作品ではありませんでした。
それどころかとてもすばらしい作品でしたが、このアルバムと比べると音楽的なダイナミクスに欠けるように思います。
このアルバムのダイナミクスとは、ダークな音色のギター。
この曲でも中盤あたりから鈍色な音圧かけてくるギターは、この曲に陰影を加えています。
ギターのアンジェロ・ブルスキーニ(Angelo Bruschini)は、ブルー・エアロプレインズ(The Blue Aeroplanes)のメンバーだったようですね。
このアルバムはこの人の貢献が大きく、この曲とどちらにしようか迷った「ディゾルヴド・ガール(Dissolved Girl)」などでは、もっと暴れています。
このアルバムは彼らの最高傑作と言われていますが、私も異存はありません。
05_「Paradise Circus」(アルバム:Heligoland)
Paradise Circus[703,440_ 2015/04/30]
■曲名:Paradise Circus
■曲名邦題:パラダイス・サーカス
■アルバム名:Heligoland
■アルバム名邦題:ヘリゴランド
■動画リンク:「Paradise Circus」
このアルバムが発売されたのは2010年ですから、前作から既に7年が経過していました。
私などは、まだバンドが継続していたのかと驚いたぐらいです。
このアルバムは相当難産だったようで、当初は「Weather Underground」という仮タイトルで、2007年に発売が予定されていました。
実際に発売されたのは2010年ですから、3年以上長引いたことになります。
しかし実際に発売されたアルバムを聞いてみたところ、なかなかすばらしい作品だと思いました。
特にこの曲は一時期の頃のようなダークな光沢はないけれど、後半はまるでニューオーダーみたいな箇所があって、聞きごたえがあります。
ちなみにアルバムタイトルの「Heligoland」とは、ドイツの観光地として有名な「ヘルゴラント島」のことです。
なかなか風光明媚な土地なので、写真を掲載しておきましょう。
massive-attack-helgoland-picture
この写真を見ながらお聞きいただくと、より曲のイメージが広がって聞こえるかもしれません。
06_「Live with Me」(アルバム:Collected)
Massive Attack - Live With Me[18,695,236_2010/01/30]
■曲名:Live with Me
■曲名邦題:リヴ・ウィズ・ミー
■アルバム名:Collected
■アルバム名邦題:コレクテッド
■動画リンク:「Live with Me」
このアルバムはベスト盤です。
「ダニー・ザ・ドッグ(Danny the Dog)」や「ブレット・ボーイ(Bullet Boy)」のようなサウンドトラック作品が続いた後にリリースされました。
オリジナルアルバムには収録されていない曲も入っていますから、ファンであればチェックしておいて損はありません。
この曲もオリジナルアルバム未収録曲です。
さてこの曲のゲストボーカルは、テリー・キャリアー(Terry Callier)です。
いかにも彼らと相性が良さそうですね。
やるせないイントロの後、1:31からのテリーの第一声だけで、一気に彼の世界に持っていかれてしまいます。
テリーの歌の特徴は、異常なほどの声の深みです。
漆黒の闇を持ったマッシヴ・アタックとの相性が悪かろうはずがありません。
あと注目したいのはこのPVです。
酒浸りで自堕落な女性の私生活が描かれています。
彼女は家にいるとだめになると外出し、歩けなくなってベンチで横になります。
すると今度は、どこまでも螺旋階段を落ちていく夢を見てしまう始末です。
その後目を覚ました女性が目にしたものとは何でしょうか。
続きは上の動画でどうぞ!
07_「Cool Monsoon (based on “Weather Storm”)」(アルバム:No Protection)
Cool Monsoon (Weather Storm)[109,197_2018/09/11]
■曲名:Cool Monsoon (based on “Weather Storm”)
■アルバム名:No Protection
■アルバム名邦題:ノー・プロテクション
■動画リンク:「Cool Monsoon (based on “Weather Storm”)」
このアルバムはマッド・プロフェッサー(Mad Professor)が「Protection」を、ダブ・アルバムとして再編集した作品です。
最初はこのアルバムからは選曲しない方針でした。
なぜならマッド・プロフェッサー色が強すぎて、マッシヴ・アタックの作品という感じがしないからです。
実際このアルバムの魅力は、悪酔いにも似たダビーなトリップ感覚ですが、その多くはマッド・プロフェッサーの功績であるように思います。
この曲のオリジナルは「ウェザー・ストーム(Weather Storm)」という曲ですが、最初は「Protection」のバージョンで取り上げようと思っていました。
しかしこちらも捨てがたいものがあります。
他の曲では原曲が大幅に改変されていますが、この曲は比較的オリジナルの良さが残っているので、こちらをご紹介しようと思いました。
リズムはしっかりダブ処理されていますが、ピアノの美しい響きは健在です。
というよりオリジナルより美しいかもしれません。
アルバムジャケットには「Massive Attack Vs. Mad Professor」と記載されていますが、両者がガチンコでぶつかって出来上がった、異端の傑作だと思います。
08_「Future Proof」(アルバム:100th Window)
Massive Attack - Future Proof[597,869_2010/04/04]
■曲名:Future Proof
■曲名邦題:フューチャー・プルーフ
■アルバム名:100th Window
■動画リンク:「Future Proof」
このアルバムでは、ダディ・Gは子育てを理由に参加しませんでした。
オリジナルメンバーのマッシュルームは、前作で既に脱退しています。
そのため、このアルバムはほぼ3Dのソロアルバムといえるかもしれません。
シンニード・オコナー(Sinead O’Connor)が参加した曲もありますが、全体的に3D色の強いアルバムといえるでしょう。
前作「Mezzanine」では、人間関係がかなり険悪な中でレコーディングされたようですが、そうした不協和音さえも音楽に深みを加えるスパイスだったかもしれません。
そのぐらい神がかり的な凄みがありました。
しかしこの作品では、そうしたマジックは働いていません。
また以前の彼らは時代に先駆けた存在でしたが、このアルバムでは追い付かれてしまったようなところがあります。
この曲などは少し前のレディオヘッド(Radiohead)みたいなところがないでしょうか。
しかしそうした比較をせず純粋に音楽だけで判断したら、この曲はとてもすばらしい出来です。
まずイントロの浮遊感漂うイントロの後、3Dのボーカルが始まりますが、その後のカオスな展開はとてもスリリングです。
魔法が解けた後の人間界の音楽としては、上々の部類ではないでしょうか。
09_「Unfinished Sympathy」(アルバム:Blue Lines)
Massive Attack - Unfinished Sympathy[76,307,381_2009/03/06]
■曲名:Unfinished Sympathy
■曲名邦題:アンフィニッシュト・シンパシィ
■アルバム名:Blue Lines
■アルバム名邦題:ブルー・ラインズ
■動画リンク:「Unfinished Sympathy」
この曲は彼らの代名詞的な名曲です。
本来はもっと上に位置していてもおかしくありません。
それがこの位置になっているのは、ひとえに私の好みゆえです。
またこのアルバムはウィリアム・デヴォーン(William DeVaugh)の「ビー・サンクフル・フォー・ワット・ユー・ゴット(Be Thankful For What You’ve Got)」のカバーが有名です。
私はそちらにも、はまることができませんでした。
私はこのバンドの暗くダウナーところが好きで、どこまでも落ち込んでいくような、同時に浮遊感があるところがすばらしいと思っています。
その好みからすると、この曲のボーカルであるシャラ・ネルソン(Shara Nelson)のボーカルは、いささか生命力がありすぎるのですね。
私はR&Bも好みますが、このバンドにそういう要素を求めてはいません。
かっこいいリズムの上でひたすらダウナーな曲をやってくれれば、それで満足してしまうところがあります。
ただその好みを超えてこの曲を選んだのは、楽曲の魅力とストリングスのすばらしさゆえです。
誰がストリングスアレンジしているかと思ってクレジットを見たら、ウィル・マローン(Wil Malone)でした。
この人はソロアルバムでもオーケストレーションが絶品でした。
有名な曲では、ヴァーヴ(The Verve)の「ビター・スウィート・シンフォニー(Bitter Sweet Symphony)」もこの人の仕事といえば、ご理解いただけるかもしれません。
おそらく私以外の多くの方は、この曲を素直に楽しめると思います。
奇特にも私のような性分の方は、ストリングスのすばらしさに注目していただければと思います。
10_「Babel」(アルバム:Heligoland)
Massive Attack - Babel[119,960_2017/10/16]
■曲名:Babel
■曲名邦題:バベル
■アルバム名:Heligoland
■アルバム名邦題:ヘリゴランド
■動画リンク:「Babel」
彼らはとっつきにくい部類のバンドだと思います。
初めて聞く方は、聞きやすい曲がそろっているこのアルバムあたりをおすすめします。
特にこの曲などは、ギターポップかと思えるぐらいではないでしょうか。
このアルバムではトリッキーの女性ボーカル、マルティナ・トップリー・バード(Martina Topley-Bird)が、ゲストボーカルを務めています。
エリザベスのような魔性の声ではありませんが、とてもキュートな声質が魅力的ですね。
そして聞きやすいと思って聞いていると、後半は徐々に彼ららしいサウンドに変化してきます。
特に3:30からの展開は地味にすばらしい。
この曲は普通のバンドサウンドに少し近いので、すんなりと魅力が伝わりやすいと思います。
この曲のリズムのアプローチが気になったら、ぜひファーストアルバムも聞いてみてください。
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