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01_「The Rescue Blues」(アルバム:Gold)
Ryan Adams - The Rescue Blues (music video)[248,667_2009/11/10]
■曲名:The Rescue Blues ■曲名邦題:レスキュー・ブルース ■アルバム名:Gold ■アルバム名邦題:ゴールド ■動画リンク:「The Rescue Blues」
彼のソロ・キャリアの成功は、このアルバムから始まったといってもいいでしょう。 なにせ名曲ぞろいです。 後で取り上げた「New York, New York」以外にも「サムハウ、サムデイ(Somehow, Someday)」「ホエン・ザ・スターズ・ゴー・ブルー(When the Stars Go Blue)」など、どれを取り上げるかかなり迷いました。 悩んだ末、私はこの曲を1位にしてみました。 この曲はまるでゴスペル・ミュージックみたいではないでしょうか。 実際歌詞も、救済がテーマです。 人々は救いを求めているけれど、僕に救済のブルースを歌うように言うのはやめてくれという内容です。 基本的にこの人は、人々の思いを背負おうというタイプの人ではありません。 あくまで個人の心情を歌に込めるタイプの人だと思います。

02_「Let It Ride」(アルバム:Cold Roses)
Ryan Adams Let It Ride[491,684_2011/02/26]
■曲名:Let It Ride ■曲名邦題:レット・イット・ライド ■アルバム名:Cold Roses ■アルバム名邦題:コールド・ローゼズ ■動画リンク:「Let It Ride」
この人は多作なことで知られています。 このアルバムがリリースされた2005年には「29」「ジャクソンビル・シティ・ナイツ(Jacksonville City Nights)」そしてこのアルバムと、3枚ものアルバムをリリースしました。 しかもこの「Cold Roses」にいたっては、2枚組です。 この人はいくらでも曲を書けるようですね。 ただ注目すべきは量ではなく、量産しても質を伴っているということ。 現にこのアルバムは、彼の最高傑作と呼ばれています。 この人のコアな魅力は、独特の情感を持ったメロディです。 そのペーソスの漂うメロディを堪能したい人は、このアルバム一枚聞き通してみてください。 多くのアルバム収録曲はスローですが、今回はシングルカットされた軽快な曲を選んでみました。 この曲は「ラッキー・ユー(Lucky You)」という映画で使用されたことでも知られています。

03_「Come Pick Me Up」(アルバム:Heartbreaker)
Ryan Adams - Come Pick Me Up[6,276,138_2008/02/19]
■曲名:Come Pick Me Up ■曲名邦題:カム・ピック・ミー・アップ ■アルバム名:Heartbreaker ■アルバム名邦題:ハートブレイカー ■動画リンク:「Come Pick Me Up」
この人は元々ウィスキータウンというバンドに在籍していました。 オルタナ・カントリーの代表的なバンドとして知られていて、いずれそちらの方でもランキングを作成したいと思っています。 このアルバムはウィスキータウン(Whiskeytown)のラスト・アルバム「ニューモニア(Pneumonia)」との共通点が多く、当時いかに彼がバンドにとって重要な存在だったかかが伺えます。 ウィスキータウンは、グラム・パーソンズ(Gram Parsons)からの影響を強く受けていました。 それはライアンの好みを強く反映していたせいかもしれません。 例えばソロになってから名作「Cold Roses」のジャケット一つとっても、グラム・パーソンズからの影響が伺えますから。 グラム・パーソンズは、エミルー・ハリス(Emmylou Harris)とデュエットで、すばらしい曲を数多く残しています。 このアルバムでは、あこがれのエミルーとのデュエットで「オー・マイ・スウィート・キャロライナ(Oh My Sweet Carolina)」という名曲を残しています。 そちらもリンクを貼っておきましょう。 Ryan Adams – Oh My Sweet Carolina 今回ご紹介した「Come Pick Me Up」の方でも、サビでキム・リッチー(Kim Richey)のコーラスが入っています。 このデュエット路線は2枚目以降少なくなりましたが、少し残念に思います。

04_「New York, New York」(アルバム:Gold)
Ryan Adams - New York, New York (Official Music Video)[3,192,056_2009/10/08]
■曲名:New York, New York ■曲名邦題:ニューヨーク・ニューヨーク ■アルバム名:Gold ■アルバム名邦題:ゴールド ■動画リンク:「New York, New York」
初期の代表曲です。 この曲はPVが大きな話題を集めました。 動画を見た方は、何の変哲もない動画に思われたかもしれません。 ニューヨークの街並みを背景に、ライアンがギターを弾いて歌っているだけですから。 ただ動画の冒頭に「この動画は2001年9月7日に撮影された」という文字が出てきます。 実はこの4日後、アルカイダによる同時多発テロで、ワールドトレードセンターに飛行機が激突するという事件がありました。 9.11と呼ばれている事件です。 以下の写真で炎上しているのが、双子のワールドトレードセンターです。 ryan-adams-9.11 この曲のPVでライアンは、ワールドトレードセンターをバックに歌っています。 この曲は夢を抱いてニューヨークに来たけれど、成功できずニューヨークを去ることを決心した男の話です。 主人公はニューヨークには良い思い出がなく、地獄だとさえ呼んでいます。 しかし同時に、なぜかニューヨークを愛していると。 事件による話題性と涙腺を刺激する歌詞で、一躍この曲は大きな注目を浴びました。 アメリカ人にとって、事件を象徴するメモリアルな曲の1つです。

05_「Two Hearts」(アルバム:Easy Tiger)
Ryan Adams - Two Hearts[10,334_2013/09/13]
■曲名:Two Hearts ■曲名邦題:トゥー・ハーツ ■アルバム名:Easy Tiger ■アルバム名邦題:イージー・タイガー ■動画リンク:「Two Hearts」
彼は「Gold」以来、それなりのセールスを挙げることができるようになりました。 しかしトップテン入りするようになったのは、このアルバムからです。 以前の彼の音楽は上質ではありましたが、音楽の振れ幅が大きかったり地味すぎて、ビック・セールスを狙える感じがしませんでした。 このアルバムでの改善点は、バランスの良さです。 2005年に発売された特徴の異なる3枚のアルバムの要素を、バランスよく配置しているように思います。 さて彼は2004年から「カーディナルズ(The Cardinals)」というバンドを率いています。 ライアンと彼らの関係は、ニール・ヤング(Neil Young)とクレイジー・ホース(Crazy Horse)にも似た相性の良さを感じます。 カーディナルズは特にフォーキーな曲で良いサポートをしている曲が多いのですが、こういうロックっぽい曲でも情感あふれる演奏を提供しています。 ちなみにカーディナルズには、ニール・カサール(Neal Casal)という、今は亡きすばらしいシンガーソングライターも在籍していました。 もしライアンが気に入ったら、ぜひニール・カサールのソロアルバムもチェックしてみてください。 そういえば昔友人に、大のニール・カサール狂の男がいました。 彼は今何をしているのか、久々に連絡を取ってみたくなりました。

06_「Nuclear」(アルバム:Demolition)
Ryan Adams - Nuclear[112,670_2013/08/19]
■曲名:Nuclear ■曲名邦題:ニュークリア ■アルバム名:Demolition ■アルバム名邦題:デモリション ■動画リンク:「Nuclear」
この曲は、私が「ポール・ウェスターバーグ(Paul Westerberg)みたいだった頃」と呼んでいる初期の曲です。 ただ少しオルタナ・ロック色も感じられますね。 このアルバムは、寄せ集めの曲でつくられた作品です。 彼はこの頃「The Suicide Handbook」というアルバムを完成させていました。 しかし所属レーベルのロスト・ハイウェイ(Lost Highway Records)から「悲しすぎる」という理由でリリースを拒否されています。 更に同年彼は「48 Hours」「The Pinkhearts」「The Swedish Sessions」という4枚のアルバムをつくり上げましたが、このアルバムはそれら4枚のアルバムからの曲がかき集められました。 ただ彼にとってそれはとても辛い決断だったらしく、このアルバムが出来たことより、元のアルバムが「解体」されたと考えているようです。 このアルバム・タイトル「Demolition」も「解体」というタイトルですし。

07_「Chains of Love」(アルバム:Ashes & Fire)
Chains Of Love - Ryan Adams[51,673_2011/10/15]
■曲名:Chains of Love ■曲名邦題:チェインズ・オブ・ラヴ ■アルバム名:Ashes & Fire ■アルバム名邦題:アッシズ&ファイア ■動画リンク:「Chains of Love」
彼は2009年カーディナルズとの関係を辞めることを発表しました。 理由としてはメニエール病による難聴、音楽業界やメディアに失望したことなどが挙げられています。 カーディナルズとはその後何度も共演しているので、ケンカ別れではなさそうですが。 このアルバムでの彼は、フォーク路線に回帰しています。 彼の紡ぎ出すメロディを好む人にとっては、とても満足できるアルバムでしょう。 実際名曲ぞろいで、比較的地味な内容にも関わらず、アルバムチャートで7位を記録しています。 今回はその中でも、フォーク・ロックっぽい曲を取り上げてみました。 彼はこの作品前に詩集を2冊発表したり、マンディ・ムーアと結婚したりなどで、人生を謳歌していたようです。 その充実ぶりが、この曲にも表れているような気がしますね。 ちなみにプロデューサーは、オールドロック・ファンにおなじみのグリン・ジョーンズ(Glyn Johns)。 グリンはライアンの初期作品をプロデュースを担当した、イーサン・ジョンズ(Ethan Johns)の父親です。 親子で同じアーティストをプロデュースするというのは、かなり珍しいことかもしれません。

08_「This Is It」(アルバム:Rock N Roll)
This Is It[11,330_2018/07/30]
■曲名:This Is It ■曲名邦題:ディス・イズ・イット ■アルバム名:Rock N Roll ■アルバム名邦題:ロックンロール ■動画リンク:「This Is It」
この人の魅力のコアは、フォーキーな曲での美しく味わい深いメロディです。 ただ私は今回この人の魅力を訴える上で、即効性のある曲をご紹介したいと思いました。 そのため、ロック色の強い曲を多めにしています。 彼の曲にはフォーク・ロック、カントリー・ロックっぽい曲も多いのですが、1曲ロックンロールといえる曲を選んでみました。 同系統の曲を、もう2曲ご紹介しておきましょう。 Ryan Adams – Gimme A Sign Ryan Adams & The Cardinals – Magick 確かにこうしたロックンロール・ナンバーは、彼の曲の中では傍流かもしれません。 ただこういう曲から彼の魅力を知るのもアリではないでしょうか。

09_「Trouble」(アルバム:Ryan Adams)
Ryan Adams - Trouble[154,519_2014/09/09]
■曲名:Trouble ■曲名邦題:トラブル ■アルバム名:Ryan Adams ■アルバム名邦題:ライアン・アダムス ■動画リンク:「Trouble」
この人は気難しい性格だと言われています。 扱いにくさでは、オアシス(Oasis)のギャラガー兄弟をしのぐという人もいるぐらいです。 確かにこの人の行動はとても気まぐれで、行き当たりばったりなところが目立つかもしれません。 おそらく衝動的に行動するタイプではないかと思われます。 加えて、多動性も併せ持っている感じでしょうか。 近年の彼は、元妻マンディ・ムーア(Mandy Moore)を含む数人の女性から訴えられています。 性的関係を強要したり、精神的な虐待を行っていたようです。 これらの女性問題は、MeToo運動の流れから次々に表面化していきました。 さてこの曲のタイトルは「Trouble」です。 歌詞でも「私たちは死んでいなくなってしまった方がいいかもしれない」などと歌われています。 あまりの精神状態がよろしくない感じがしますね。 アルバム・ジャケットも、なにやら鬼気迫る感じですし。 彼のやったことは残念ですが、この作品は全米第4位となり、彼のアルバムとしては最高位を記録しています。

10_「Wonderwall」(アルバム:Love Is Hell)
Ryan Adams - Wonderwall[6,383,121_2007/11/07]
■曲名:Wonderwall ■曲名邦題:ワンダーウォール ■アルバム名:Love Is Hell ■アルバム名邦題:ラヴ・イズ・ヘル ■動画リンク:「Wonderwall」
この曲はご存知、オアシスの名曲です。 このカバーは、本家ノエル・ギャラガー(Noel Gallagher)からも絶賛されています。 ライアン・アダムスによる“Wonderwall”のカヴァーについては次のように語っている。 「ブルースや哀愁をあの曲に持ち込んだよな。あの曲を書いた時は、すごく速くレコーディングしたんだ。 その数年後に彼がライヴでカヴァーしててさ、誰かが会場で『あの曲をやってるぞ』って俺を呼んだんだ。 彼はそこにブルースと物悲しさを持ち込んでいて、それを聴いて、ブッ飛ばされたよ。マジでね。彼は自分のものにしたんだ ライアン・アダムス、ノエル・ギャラガーのいる前でオアシスの楽曲を2曲カヴァー ノエルの言う通り、ライアンはこの曲の持つポテンシャルを引き出していますね。 ライアンは湿り気を帯びた歌唱で、この曲の闇深さと哀感を見事表現しています。 原曲にも比肩しうる傑作といえる出来ではないでしょうか。

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