03_「We’re In This Together」(アルバム:The Fragile) Nine Inch Nails - We're In This Together[17,160,745_2009/06/17]
■曲名:We’re In This Together
■曲名邦題:ウィ・アー・イン・ディス・トゥゲザー
■アルバム名:The Fragile
■アルバム名邦題:ザ・フラジャイル
■動画リンク:「We’re In This Together」
このアルバムは、前作から5年後にリリースされました。
その間トレント・レズナーは映画「ナチュラル・ボーン・キラーズ(Natural Born Killers)」、「ロスト・ハイウェイ(Lost Highway)」のサントラをプロデュースし、後者には「パーフェクト・ドラッグ(The Perfect Drug)」という楽曲を提供しました。
このアルバムは、二枚組としてリリースされました。
しかし楽曲はどれも練り込まれたものばかりで、100分超という長さでも退屈しません。
聞いていると自分の内圧が高まってくる曲が多く、長いのに密度が濃いという、リスナーの負担が大きいアルバムに仕上がっています(笑)
緊張感をほぐす目的か、ピアノのインストをうまく活用しているのも、このアルバムの特徴です。
1曲リンクを貼っておきましょう。
Nine Inch Naild – The Frail
まるでエリック・サティか坂本龍一を思わせる曲ではないでしょうか。
確かにこの人の曲は、ノイズ・インダストリアルやダークなニューウェーヴ系サウンドが多いかもしれません。
しかしその根本には、独特の美意識があるように思います。
私はこの曲のダークな音像にも美しさを感じます。
04_「Wish」(EP:Broken) Nine Inch Nails - Wish[9,101,330_2009/12/25]
■曲名:Wish
■曲名邦題:ウイッシュ
■EP名:Broken
■EP名邦題:ブロークン
■動画リンク:「Wish」
この曲は、8曲入りのEPから選曲しました。
収録時間も30分を超えていますし、他のアルバムとも曲が被っていませんから、ほぼオリジナル・アルバムと考えてもいいでしょう。
時期的には、1枚目と2枚目の間に発売されています。
このアルバムは、彼らのアルバムで最もメタル色が強いかもしれません。
このEPが発売された1992年は、メタルに変革の動きがあった年です。
あのパンテラ(Pantera)の「俗悪(Vulgar Display of Power)」がシーンに衝撃を与えた年ですから。
その頃からメタル、パンク、アメリカン・オルタナティヴ、ラウド・ロックなどが、混然一体となったメタルが増えてきました。
ただナイン・インチ・ネイルズは、その後また違う方向へと向いましたが。
さてどうでもいいことですが、私はトレントの声がレニー・クラヴィッツ(Lenny Kravitz)と似ていると思う時があります。
私はこの曲を聞くといつもレニーを思い出してしまいます。
05_「Something I Can Never Have」(アルバム:Still) Something I Can Never Have[408,970_2019/03/14]
■曲名:Something I Can Never Have
■曲名邦題:サムシング・アイ・キャン・ネヴァー・ハヴ
■アルバム名:Still
■アルバム名邦題:スティル
■動画リンク:「Something I Can Never Have」
激しい曲が続きましたから、静かな曲もご紹介しておきましょう。
まずこのアルバムをご存知ない方も多いかもしれません。
元々は「And All That Could Have Been」の初回限定盤に付属していたボーナスCDで、後に単独アルバムとして発売されています。
しかしこのCDはあなどれません。
彼らの耽美的な側面を知るには、これ以上に最適なアルバムは他にありませんから。
既発表曲を静かめにセルフ・カバーしている曲も収録されています。
コクトー・ツインズ(Cocteau Twins)などが在籍していた4ADあたりの音がお好きな方に、おすすめいたします。
06_「March of the Pigs」(アルバム:The Downward Spiral) Nine Inch Nails-March of the Pigs Official Video[399,278_2020/05/07]
■曲名:March of the Pigs
■曲名邦題:マーチ・オブ・ザ・ピッグス
■アルバム名:The Downward Spiral
■アルバム名邦題:ザ・ダウンワード・スパイラル
■動画リンク:「March of the Pigs」
私はこのアルバムがアメリカで売れたと知った時、とても驚きました。
はっきり言って万人向けの音楽ではないと思いましたから。
それにもかかわらずこのアルバムは、アルバムチャートで全米2位を獲得しています。
アメリカのリスナーは耳が肥えているのかもしれませんが、それ以上にアメリカ人のメンタルは大丈夫なのかと心配になっていました。
ただこういうことは、時々あります。
ちなみにこのアルバムは、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)の「ロウ(Low)」やピンク・フロイド(Pink Floyd)の「ザ・ウォール(The Wall)」に影響を受けているそうです。
上記どちらの作品も極めてダウナーで一般向けとはいえませんが、大ヒットしています。
多少ベクトルが合わなくても、音楽の力で境界線を飛び越えたのかもしれません。
トレント・レズナーもこの作品で、同じ壁を乗り越えたのではないでしょうか。
07_「Head Like a Hole」(アルバム:Pretty Hate Machine) Nine Inch Nails - Head Like A Hole[19,780,326_2009/12/25]
■曲名:Head Like a Hole
■曲名邦題:ヘッド・ライク・ア・ホール
■アルバム名:Pretty Hate Machine
■アルバム名邦題:プリティ・ヘイト・マシーン
■動画リンク:「Head Like a Hole」
デビュー・アルバムからの選曲です。
実はトレント・レズナーには初期の録音があって、後年「Purest Feeling」という海賊版として出回りました。
アルバム・タイトル曲だけ、リンクを貼っておきましょう。
Nine Inch Nails – Purest Feeling
デビュー・アルバムと収録曲がかなり重複していますが、サウンド的にはかなり異なっています。
私は上の曲を聞いて、チープなサウンドに肩すかしをくらいました。
正直デビュー・アルバムの曲に比べると、かなり出来が落ちるのではないかと。
彼らは1989年にデビューしていますから、おそらく1988年あたりの録音だと思われます。
しかし1年ほどでこのデビュー・アルバムの水準まで持ってくるとは、逆に著しい進歩といえるかもしれません。
さて「Head Like a Hole」は初期を代表する曲で、まだ後のような漆黒の深みはありませんが、爽快感のある曲だと思います。
08_「Only」(アルバム:With Teeth) Nine Inch Nails - Only (Dirty)(Official Video)[12,565,774_2009/12/25]
■曲名:Only
■曲名邦題:オンリー
■アルバム名:With Teeth
■アルバム名邦題:ウィズ・ティース
■動画リンク:「Only」
このアルバムから彼の音楽は大きく変わりました。
以前のようなヘヴィーで激しい音づくりが抑え気味になり、軽くてポップな曲が増えてきました。
この曲は新しい作風を代表する曲です。
もう1曲同系統の曲のリンクを貼っておきましょう。
Nine Inch Nails – The Hand That Feeds
この時前作から既に6年経過していましたが、その間トレント・レズナーは、アルコールと薬物の依存症を克服しようとしていました。
彼は治療が終わってから、前作のプロデューサーであるアラン・モルダー(Alan Moulder)と一緒に、このアルバムを製作しました。
困難を克服した後のせいか、内面にも変化が表れているかもしれません。
いくぶん表情が明るい感じがします。
たとえばこの曲の歌詞は、以下のような内容です。
私は自分を傷つけるためにあなたをつくり、それはうまくいった。
しかしもう自分を罵る必要はない、と。
確かに音楽面での鋭さは失われたかもしれませんが、それでも充分聞く価値のある作品に仕上がっています。
09_「Copy of a」(アルバム:Hesitation Marks) Copy Of A[327,977_2018/07/24]
■曲名:Copy of a
■曲名邦題:コピー・オブ・ア
■アルバム名:Hesitation Marks
■アルバム名邦題:ヘジテイション・マークス
■動画リンク:「Copy of a」
今回は初期の曲に偏ってしまったかもしれません。
彼は「The Fragile」以降も「イヤー・ゼロ〜零原点…(Year Zero)」などの充実作をリリースしています。
次第にポップな曲が多くなりましたが、その路線でもすばらしい曲が多く、人によっては今の方がいいと考える人がいてもおかしくありません。
私は「With Teeth」以降では、2013年のこのアルバムが最も気に入っています。
昔の激しくヘヴィーな作風とは異なりますが、質の高い楽曲がそろっていて、より音楽的に成熟しているように感じます。
何よりも彼の本質である透徹した美意識も健在ですし。
この曲はエレポップっぽい曲で、キュアー(The Cure)やデペッシュ・モード(Depeche Mode)あたりがお好きな方におすすめかもしれません。
またこの頃彼は、数多くの映画音楽を手がけていました。
有名なのは「ソーシャル・ネットワーク」ですが、このアルバムと同年「ドラゴン・タトゥーの女」で、グラミー賞を受賞しています。
彼はまだまだこれからの人のようです。