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Yo La Tengo  目次  前Rammstein  次Travis 

01_「Season of the Shark」(アルバム:Summer Sun)
[39,599_2019/12/22]
■曲名:Season of the Shark ■曲名邦題:シーズン・オブ・ザ・シャーク ■アルバム名:Summer Sun ■アルバム名邦題:サマー・サン ■動画リンク:「Season of the Shark」
彼らはこのアルバムからポップ路線に舵をきりました。 前作「And Then Nothing Turned Itself Inside-Out」は夜、しかも深夜の空気感を持ったアルバムでした。 しかし一転して次作のこのアルバムは「Summer Sun」、つまり「夏の太陽」というアルバム名の通り、明るい曲が多いように思います。 特にこの曲などは、ギターポップといえそうではないでしょうか。 イントロからキラキラした光の粒子を感じますね。 曲名の「Season of the Shark」は「鮫の季節」という意味です。 変なタイトルだと思い、歌詞を読んでみたところ、こんな内容でした。 時には誰かの助けが必要だよ あなたには背中に隠してくれる人が必要だ 私はあなたにとって、そういう存在でありたい こういう穏やかでやさしい目線は、アルバム全体から感じられます。

02_「Beanbag Chair」(アルバム:I Am Not Afraid of You and I Will Beat Your Ass)
[3,732_2009/12/08]
■曲名:Beanbag Chair ■曲名邦題:ビーンバッグ・チェアー ■アルバム名:I Am Not Afraid of You and I Will Beat Your Ass ■アルバム名邦題:アイ・アム・ノット・アフレイド・オブ・ユー・アンド・アイ・ウィル・ビート・ユア・アス ■動画リンク:「Beanbag Chair」
彼らの曲でも屈指の楽しい曲です。 このアルバムは前作「Summer Sun」のポップ路線を、更に進めた感があります。 他にも「ザ・ウィーケスト・パート(The Weakest Part)」 「ブラック・フラワーズ(Black Flowers)」など、良い曲が多数収録されています。 ちなみに「Beanbag Chair」とは、こういう椅子のこと。 yo-la-tengo-beanbag.pg いわゆる人をダメにする系のソファのことみたいです。 歌詞を読んでみたところ、いまひとつ意味がつかめませんでした。 私の英語力と読解力では、安定した関係に安住することに対して、危機感を持っている内容のように読み取れました。 「若い頃はあなたを好きだったけれど、今は、、、」みたいな一節もありますし。 彼らはスリーピースのバンドで、3人中2人が夫婦です。 ・アイラ・カプラン (Ira Kaplan) :ボーカル、ギター ・ジョージア・ハブレイ (Georgia Hubley) :ボーカル、ドラム 2人はレコード屋でよく顔を合わせることがきっかけで交際が始まり、その後結婚しています。 確かスワン・ダイヴ(Swan Dive)の2人も、レコード屋で出会ったはず。 日本でこういうことは、あまりないかもしれません。 日本のレコ屋では誰かに話しかけませんし、そもそもレコード屋に女性客が少ないですから。

03_「Stockholm Syndrome」(アルバム:I Can Hear the Heart Beating as One)
Stockholm Syndrome[92,864_2019/12/22]
■曲名:Stockholm Syndrome ■曲名邦題:ストックホルム・シンドローム ■アルバム名:I Can Hear the Heart Beating as One ■アルバム名邦題:アイ・キャン・ヒア・ザ・ハート・ビーティング・アズ・ワン ■動画リンク:「Stockholm Syndrome」
彼らは3人ともボーカルを担当することができます。 先程その内の2人をご紹介しましたが、1992年に第三の男、ジェイムズ・マクニュー(James McNew)が加入しました。 彼の加入で全盛期が始まりました。 彼はベースを担当しています。 それほど多くありませんが、彼が歌っている曲もあります。 その中で私が一番好きなのがこの曲。 アイラ・カプランとは少し違った線の細いボーカルが、哀感をにじませています。 さて曲名の「Stockholm Syndrome」とは「ストックホルム症候群」のこと。 「ストックホルム症候群」とは、立てこもり事件の犯人と被害者が長い時間を過ごす内に、恋愛感情や信頼関係が強くなることを指した言葉です。 英米のアーティストが好むテーマらしく、ミューズ(Muse)やワン・ダイレクション(One Direction)を筆頭に、時々曲名として取り上げられています。 私は言葉の意味を知る前に、曲名で知っていました。 この曲は1:23からのアイラ・カプランのギターがすばらしいです。

04_「All Your Secrets」(アルバム:Popular Songs)
All Your Secrets[6,665_2015/02/22]
■曲名:All Your Secrets ■曲名邦題:オール・ユア・シークレッツ ■アルバム名:Popular Songs ■アルバム名邦題:ポピュラー・ソングス ■動画リンク:「All Your Secrets」
アルバム名の通り、ポップな楽曲が収録されています。 ただ彼らの場合、ポップになったからといって、売れ線を狙った感じはしません。 そもそもこの曲もポップで聞きやすいですが、ヒットしそうな感じはしませんし(笑) とびっきり良質でポップでも、押しが弱く売れそうな感じがしないのは、グラスゴー出身のバンドと少し似ています。 彼らの最高傑作は「I Can Hear the Heart Beating as One」か「And Then Nothing Turned Itself Inside Out」のどちらかと言われることが多いです。 どちらもポップな作品ではありません。 彼らの場合、ギターがゆらゆら漂っている曲や、フィードバック・ノイズの曲の方が、高く評価されています。 「Summer Sun」からポップになったのは、単にやりたい音楽を優先した結果だと思われます。 しかしこの曲などは、ドリーム・ポップといった感じがしますね。 この曲は後に「スタッフ・ライク・ザット・ゼア(Stuff Like That There)」で再演していますが、彼らにとってもお気に入りの曲なのでしょう。 私は先にこのアルバムで刷り込まれたせいか、こちらのバージョンの方がいいと思ってしまいますが。 曲の中盤からのオルガンが胸を突く名曲です。

05_「I Heard You Looking」(アルバム:Painful)
Yo La Tengo - I Heard You Looking[8,586_2018/09/17]
■曲名:I Heard You Looking ■曲名邦題:アイ・ハード・ユー・ルッキング ■アルバム名:Painful ■アルバム名邦題:ペインフル ■動画リンク:「I Heard You Looking」
昔の彼らは少しシューゲイザーっぽいところがありました。 今でもまだ残っていますが、昔の方が顕著だったかもしれません。 即効性のあるポップな楽曲の後に、ジワジワくるこの曲を聞くと、一旦耳がリセットされる感じがします。 この触れ幅の大きさこそが、このバンドの魅力なのかもしれません。 このバンドの演奏面の要は、アイラ・カプランのギターです。 この曲を聞くと、アメリカン・オルタナティヴのバンド、たとえばソニック・ユース(Sonic Youth)のサーストン・ムーア(Thurston Moore)などと印象が重なります。 しかし時に彼のプレイには独特の浮遊感があって、プレイスタイルこそ違えども、ジェリー・ガルシア(Jerry Garcia)っぽい時もありますね。 彼は過小評価されがちですが、2012年スピン誌で「最も偉大なギタリスト」に選ばれています。 私は彼らのライブを見たことがありませんが、この曲はライブで聞いてみたいです。 お酒を飲みながら聞くと、軽く昇天してしまうかもしれません。 またこの曲は、ティーンエイジ・ファンクラブ(Teenage Fanclub)がカバーしたことでも知られています。 Teenage Fanclub – I Heard You Looking あまりにも似ているのがほほえましい好カバーです。

06_「Our Way to Fall」(アルバム:And Then Nothing Turned Itself Inside-Out)
Yo La Tengo - Our Way To Fall[373,620_2011/03/30]
■曲名:Our Way to Fall ■曲名邦題:アワー・ウェイ・トゥ・フォール ■アルバム名:And Then Nothing Turned Itself Inside-Out ■アルバム名邦題:アンド・ゼン・ナッシング・ターンド・イットセルフ・インサイド-アウト ■動画リンク:「Our Way to Fall」
「Painful」と並んで、深夜に聞きたくなるアルバムです。 そういえばジャケットも少し似ていますし。 これまでの彼らはギターが中心でしたが、このアルバムではキーボードが目立っています。 この曲でも浮遊感漂うキーボードが、全体のカラーを印象づけていますね。 昼間に散らかった感情の欠片が、沈殿していく真夜中のような雰囲気を持った曲です。 淡い音像の中、モノローグのようなボーカルが始まります。 このアルバムは、アンビニエントとかポストロックとか音響系などと言われますが、そういうキーワードが気になる方は聞いて損はありません。 何気ない音のすき間が、とてもイマジネイディヴな空間になっています。 深夜の静謐でモラトリアムな時間を、1人で過ごす密かな楽しみを大切にする人にとって、最高のBGMになるはずです。 彼らの曲の中で、最も鎮静効果が高い曲かもしれません。

07_「Ohm」(アルバム:Fade)
[537,682_2013/07/10]
■曲名:Ohm ■曲名邦題:オーム ■アルバム名:Fade ■アルバム名邦題:フェイド ■動画リンク:「Ohm」
この曲を聞くと毎回必ずストーン・ローゼズ(The Stone Roses)のファーストを思い出します。 両者は共に、ザ・バーズ(The Byrds)などのフォーク・ロックの影響を受けています。 アイラ・カプランは元々、音楽評論家をやっていました。 沢山の音楽を聞いてきたと思われますが、実際彼らの曲には様々な音楽の影響が感じられます。 彼らはよくカバーしていますが、カバー・アルバム「フェイクブック(Fakebook)」を聞くと、種明かしされている気がして、とても興味深いです。 「Fakebook」には、ザ・バーズのジーン・クラーク(Gene Clark)のカバーが入っていました。 さてこのアルバムはポップ路線の集大成といった感じがします。 同じアルバムから、もう1曲ご紹介しておきましょう。 Yo La Tengo – Well You Better こちらはベル・アンド・セバスチャン(Belle and Sebastian)でしょうか。 彼らの音楽を聞く時には、溶け込んでいる様々な影響を、読み解いていく楽しさがあります。

08_「Sugarcube」(アルバム:I Can Hear the Heart Beating as One)
[145,085_2019/12/22]
■曲名:Sugarcube ■曲名邦題:シュガーキューブ ■アルバム名:I Can Hear the Heart Beating as One ■アルバム名邦題:アイ・キャン・ヒア・ザ・ハート・ビーティング・アズ・ワン ■動画リンク:「Sugarcube」
私はこのアルバムが最高傑作だと思います。 中でもこの曲は、定番で有名曲の1つです。 「メイ・アイ・シング・ウィズ・ミー(May I Sing with Me)」あたりから始まった流れは、ここで頂点を迎えました。 激しさと静寂が同居した、刺さる系の頂点を記録した作品だと思います。 彼らは典型的なアルバムアーティストです。 アルバムが1曲目らしくない曲から始まることが多く、アルバム後半に良い曲が大量に投入されていたりします。 ただこのアルバムは名曲だらけで、唯一2曲選びましたが、選びたい曲はまだまだあります。 特に「ウィ・アー・アン・アメリカン・バンド(We’re an American Band)」後半のノイズの嵐が終って、下のラスト・ナンバーが始まる瞬間は、このアルバムの白眉といえます。 Yo La Tengo – My Little Corner of the World とはいえ曲単位でいえば、やはりこの曲あたりを選ぶのが妥当だと思います。 この頃の彼らは、少しローファイなところも味わい深いです。

09_「Tom Courtenay (acoustic version)」(アルバム:Prisoners of Love: A Smattering of Scintillating Senescent Songs: 1985–2003)
Yo La Tengo - Tom Courtenay (acoustic version)[12,496_2012/06/09]
■曲名:Tom Courtenay (Acoustic Version) ■曲名邦題:トム・コートニー (アコースティック・バージョン) ■アルバム名:Prisoners of Love: A Smattering of Scintillating Senescent Songs: 1985–2003 ■アルバム名邦題:プリズナーズ・オヴ・ラヴ :ザ・ベスト・オヴ・ヨ・ラ・テンゴ 85-03 ■動画リンク:「Tom Courtenay (acoustic version)」
ベスト盤からの選曲です。 彼らはオリジナルアルバム未収録曲が多いので、こういうベスト盤で補うのがおすすめです。 特にこのアルバムについては、3枚目にあたる「Outtakes and Rarities」が聞き逃せません。 この曲もその1曲。 原曲は「Electr-O-Pura」に収録されていますが、こちらはアコースティック・バージョンで、ボーカルもジョージア・ハブレイが担当しています。 オリジナル・バージョンとは違った、ネオアコっぽいところがいいですね。 彼らは別バージョンを発表することが多いのですが、結構大胆にアレンジしています。 中にはこの曲のように、原曲を上回りそうな曲もありますし。 このランキングで気に入った方は、まずオリジナル・アルバムとこのベスト盤まで必携ですが、余力があれば「Genius + Love = Yo La Tengo」などもチェックしてみてください。 ちなみに今回は曲数の関係で、初期のアルバムは取り上げていません。 しかしファースト・アルバム「Ride the Tiger」からすばらしいので、どれも買って損はありません。

10_「Blue Line Swinger」(アルバム:Electr-O-Pura)
Yo La Tengo - Blue Line Swinger[65,896_2006/08/16]
■曲名:Blue Line Swinger ■曲名邦題:ブルー・ライン・スウィンガー ■アルバム名:Electr-O-Pura ■アルバム名邦題:エレクトロピューラ ■動画リンク:「Blue Line Swinger」
普通長い曲は当たり外れが大きいものですが、このバンドの場合、長い曲はどれも傑作ばかりです。 この曲もイントロが長いなと思っている内に、ジワジワと浸透してきます。 9分超とかなり長い曲ですが、この曲の場合、むしろこのぐらいの長さが必要かもしれません。 非常にトリップ感と中毒性が高い曲で、お酒なしでも酩酊してきそうです。 本来は1位の曲ですが、最後にじっくり聞いていただきたいと思い、あえてこの順位にしてみました。 アメリカはインディーズ市場が大きく、メイン・ストリームでなくても、熱狂的なファンを獲得できたら、音楽一本で食べていけます。 彼らは前作「Painful」からずっと、インディーズのマタドール・レコード(Matador Records)に所属しています。 インディーズの場合は、メジャーに比べてやりたい音楽を追求できるメリットがあります。 マタドールは、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン(The Jon Spencer Blues Explosion)やペイヴメント(Pavement)などが所属していたことで知られています。 どちらのバンドも、メジャー・レーベルでは成功したかどうか。 ヨ・ラ・テンゴもそんな環境の中で、思う存分やりたい音楽に取り組むことができました。 その最大の成果といえそうなのが、規格外のこの曲。 歌が始まるまでが長いですが、この曲はそこをカットしたらいけません。 私にとって大切な曲ですが、同じように感じていただければうれしいです。

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